【あの店の着こなし vol.2】style department_が考える、“シンプルのなかにあるユニーク”

ファッションが好き。ネットや本、雑誌でいろんなブランドや着こなしを探すのは、とてもたのしい。何気なく街を歩いていたって、雰囲気のあるおしゃれな人や素敵な着こなしを見かけると、自然と目で追ってしまう。

これがファッションの教科書だ! なんてものはないけれど、そうやってみんな自然に学んでいるのかな。だからこそ気になる古着屋やセレクトショップに行って、スタッフさんと知識を共有する時間はとても貴重。

気になるショップって、アイテムはもちろんのこと、世界観や着こなしに惹かれているんだと思う。

そう思い、このシリーズでは各地の気になるショップを巡り、ショップの想いや考えといった “裏側” を、“着こなし” という切り口で聞いていこうと思う。

第2弾は、2020年11月に奥渋谷にオープンした『style department_』(スタイルデパートメント)。

 

渋谷を代々木八幡方面へ歩いていると

東急百貨店渋谷本店の脇を抜け、代々木八幡駅方面へと向かう道。若者で賑わうセンター街の空気と比べ、どこかリラックスムードが漂うエリア。ここは、通称 “奥渋” と呼ばれる一帯だ。

その道沿いに、今回紹介するコンセプトショップ『style department_』(スタイル デパートメント)はある。

モルタルとウッドが印象的な空間は、なんといっても6mほどはある長く伸びたラックが特徴的。

このラックに、<STILL BY HAND>(スティル バイ ハンド)や<kontor> (コントール)を中心としたドメスティックブランドやインポートの洋服が並び、周りを囲むように、雑貨、アクセサリー、フレグランス、器などが花を添えている。

奥渋谷散策の途中、ふらっと寄れるのも魅力的なこちらのショップ。今回はショップマネージャーを務める須山(スヤマ)さんにお話を伺った。

須山さん

ーー本日はよろしくお願いします。まずは簡単に、お店のことを教えてください。

「2020年11月にオープンしたので、半年ほどになります。主に取り扱っているブランドはSTILL BY HANDです。約20年前にスタートしたブランドで、Tシャツ4型からスタートしました。

もともとは専門や卸に出してきたのですが、20年間にわたりブランドに携わってきたなかで、『自分たちがこだわった空間で、こういった洋服の良さを表現していきたい!』という思いが芽生え、今回ショップを出すことにしました」

--展開しているブランドにはどういった特徴がありますか?

「STILL BY HANDは20年前からシンプル・ミニマルを推しているブランドです。派手でインパクトがあるというわけではないけど、日々の着こなしにちょっとした変化を与えてくれる。そんなブランドです。

シンプル・ミニマルを提唱するブランドはここ数年で増えているように思いますが、STILL BY HANDはブームに乗せているわけではなく、一貫してコンセプトを体現しているブランドですね」

ーーセレクトショップではなく、コンセプトショップと掲げたのはなぜでしょう

「その質問はよくしていただけます。簡単に比較すると、セレクトショップというのは多くのブランドからバイヤー視点でピックアップしたアイテムが、少数ずつ並んでいるショップを指すのかなと。

style department_が掲げる “コンセプトショップ” の定義としては、取り扱いブランドは狭く。そこから突き詰めて、同じブランドから徐々にバリエーションを増やしていくといったイメージですかね」

セレクトショップと直販店の間、いや直販店の拡張版といったところだろうか? 幅広いアイテムから自分の好みを選んでいくというより、着こなしや世界観に共感したブランドを、ぐっと踏み込んで体験していくたのしさがありそう。

ーーちなみに須山さんは普段、どういった考え方をもとにコーディネートを決めていますか?

「ボトムスを基本としてコーディネートを決めていきます。太めのアイテムが多く、ローカットのコンバースと合わせて履くことが多いです。ボリュームを出すためにダブルで履くこともあります」

なるほど。普通、トップスを主役にしてコーディネートを考える人が多い印象がある。ここはもう少し深く聞いてみたい。

style department_がセレクトするのは、シンプルで上質な、日々の着こなしにちょっとした変化をもたらしてくれるアイテム。でも、シンプルのなかに潜むユニークさをどう提案しているんだろう。

着こなしを見ていくことで、style department_のらしさに迫っていこう。

 

STILL BY HANDのアイテムと共に。色味のトーンをたのしむ

トップス / STILL BY HAND、パンツ / STILL BY HAND

 

全身カーキ系と言ってしまえば、そう括れてしまうスタイル。でも、明るい場所で見るとトーンが異なる。ブランド表記はどれも “カーキ” なんだけど…。

--このコーディネートのポイントはどこでしょうか?

「“揃えすぎない” ことです。アイテムごとにちょっとした色味の違いがあって、その点を考えて組んでいます」

上下が同色で合わせられたセットアップって、統一感=シンプルでスタイリッシュというイメージ。

このコーディネートのように、同系色のアイテムを取り入れつつ、その微細な色の違いに差を見いだす、そこにユニークさを感じる。詳しく見てみると、トップスのポケット位置になにやら特徴が。

「STILL BY HANDのこのアイテムは、あえてポケットを下目につけています。見ているだけでもシンプルで飽きのこないアイテムではありますが、試着をすることで全体のバランス感だったり、ちょっとした違いに気づけるポイントが多い。

違いの見せ方、その押し出し方が絶妙ですね」

着る人に少々の違和感を持たせることがユニークさの鍵? 狙いすぎないデザインと、やや異なる色味を組み合わせること。わずかな違いにオリジナリティは生まれる。

一概にカーキという言葉では捉えられない、ブランドがこだわりを持って打ち出す色味。その差をたのしむコーディネートが、このショップでならたのしめる。

 

リネンのアイテムと共に。素材感で強弱をつける

アウター / HED MAYNER、シャツ / HED MAYNER、パンツ / HED MAYNER

 

コートを片手に、春の暖かさを感じさせてくれるコーディネート。オーバーサイズのシャツをベースに、崩しすぎず、軽快に。

ーーこのスタイルのポイントはどこにありますか?

「強弱をつけすぎないようにし、全体の統一感を損なわないようにしたところです。遊び心というのは、まとまりのあるコーディネートのなかに少しだけ取り入れることが大切かなと。

デザイン性のあるモノに、シンプルなモノを取り入れることで均衡を保つ。例えばオーバーサイズのシャツに対して、ゆったりとしたコートを着ることでバランスが取れると思うんです」

たしかに、1つ目のコーディネートより色味は多いけど、サイズ感やシルエットで全体のバランスを整えている。

ーーこのコーディネートのユニークさはどの辺りと捉えていますか?

「素材に強弱をつけることで、シンプルだけどユニークさを出せているかなと。例えば、重たい素材のトップスには軽い素材のパンツを合わせるとか。

なので、夏でも “軽い素材×軽い素材” の組み合わせはあまり着ないですね。正直シンプルって、自分としては怖いものなんです。好きだけど怖い。シンプルさの極みが似合うところまでは至っていない。

それでも、シンプルが似合う人に憧れています。だから素材の強弱を意識することで、ちょっと他とは差を出してみる。生地もデザインの一部だと思っているので、大切にしていますね」

言われてみれば、パンツの素材がリネンであることに気がついた。ここでコットンを合わせるのではなく、リネンを合わせるのが、シンプル一辺倒になりがちなコーディネートに深みを与えているのだろう。

 

こだわりの靴下と共に。何事も足元から

 ニット / walenode、パンツ / kontor

 

スッキリとしたネイビーのトップスに、太めのパンツ、そしてお決まりのコンバース。

ーーこのスタイルのポイントを教えてください。

「実はこのスタイル、靴下がポイントなんです。私自身靴下が大好きで40〜50足ほど持っているのですが、このパンツにはこの靴下を履く! と決めています。

たとえまったく見えなくても、チラッと見える瞬間はあるもので。パンツ×靴×靴下、この3点セットにコーディネートの醍醐味が詰まっていると思うんですよね。

例えば私の場合、店に着くまでは白い靴下で、店では黒の靴下に履き替えることもあります。それくらい、こだわりを持って使い分けています。こだわりが強いアクセサリーの1つですね」

これにはびっくりした。靴下ってどうしても繋ぎというか、まとめて安いものを買ってしまうから。

「例えば、リブの太さってかなりポイントだと思っていて。ハリのある今回のようなパンツを履くときは、細めのリブを合わせることでより洗練され、全体としてもバランスがよく見えてくると思うんです」

靴下のことを考えていたら、懐かしい学生時代の部活動が思い出された。ユニフォームの着こなしがいくつかあり、ソックスを見せる、見せないでメンバーが各々こだわりを持っていたような気がする。

そしてなぜか、靴下がぴっちり揃っている学校は強いという印象があった(実際強豪校であることが多かったと思う…)。

「懐かしいですね(笑)。あとは、スーツを着るシーンでは靴下選びが重要ですが、カジュアルシーンではあまり重要視されない存在だからこそ、こだわりを持って選ぶことがそのままユニークさに繋がるのではないかと」

一見分からない。けれど、よく目を凝らしてみると違いが分かる。そういった細やかさ、偏愛と言えるようなこだわりをコーディネートに組み込む。その思いこそが、ユニークさと捉えられる。

「実は靴下好きがきっかけで、<CORGI>(コーギ)の靴下を別注で作っていただいたんです」

リブの太さや丈感、色味までこだわりぬいて作られたコーギとの別注靴下。須山さんの話を聞いてから見てみると、細部までもっと知って手にしてみたくなる。※写真は前シーズンのものです。店頭にて新作の取り扱いが始まっています

 

シンプルのなかにあるユニークさを体感して

style departmentの “シンプルに着る” ことの真意は、ただ言葉通りシンプルなモノを身に着けるということではなかった。そこには全体のまとまりを考えつつも、アイテムごとの細やかな工夫を拾っていくというスタンスが見える。

シンプルに着こなすのって、簡単そうで実はかなり難しいこと。取り入れやすそうなアイテムだって、深くたのしもうとすればするほどにその奥深さを知ることになる。

表層的じゃない、一歩踏み込んだ先に見えてくるシンプルさ。そんな着こなしをしたくなったとき、きっとstyle departmentは応えてくれるはず。

 

今回訪れた場所はこちら

■style department_(スタイルデパートメント)

SPBS本店、FUGLEN COFFEE ROASTERS TOKYO、アップリンク渋谷と、粒ぞろいの店がひしめく奥渋谷エリアに誕生したコンセプトショップ。〈STILL BY HAND〉や〈kontor〉などのブランドを中心に、国内外のコンテンポラリーブランドや、アクセサリー、フレグランス、器など幅広いジャンルのアイテムが並ぶ。

住所:東京都渋谷区神山町7-12 グランデュオ神山町102

Instagram:@styledepartmentofficial

公式サイト:styledepartment-store.com

※営業時間や定休日などは上記Instagramや公式サイトのご参照をお願いします。

  

※撮影時のみマスクを外しています。また、アルコール消毒、三密の回避、検温等、新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえで取材を実施しています。

 

記事の創り手について

■イマイ キミアキ - 取材・執筆

日常のちょっとした瞬間から特別なシーンまで、“答え” ではなく “問い” を持ち、みなさんと共に考える余白を意識してお伝えしていきます。

Instagram:@diamond19_k

 

■シュン - 撮影・編集

チトセの代表と編集長、カメラマンを務めています。“僕らがたのしく生きるために” をテーマに、親しい友人から話を聞いているような、そんな等身大のメディアを目指して。「楽しいから楽しむのではない。楽しむから、楽しいのだ。」という言葉を大切に日々を生きています。

Instagram:@shun_booooy

 

 

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