【心トキめく “パケ買いワイン” のすすめ。 vol.3】THE WINE SHOP. TOKYO

みんなはモノを買うとき、何を基準に選んでる? 品質、値段、歴史的な背景?

いろんな選び方があるけど、“パケ買い=パッケージ買い” 以上にトキめく選び方ってないんじゃないかな。

どんな価値があるか詳しくはわからないけど、とにかく見た目が好き! そんな自分の衝動に素直で冒険的な買い物は、何度やってもたのしいもの。

だとしたら、ワインでも “パケ買い” を体験してみない? チトセからそんな提案をしてみたい。とはいえ、ワイン選びってなんだか肩肘張ってしまって難しい。

種類は? 味は? 何年物? きちんとした知識がないとたのしめないのかも…。

「いやいや、見た目で選べばいいじゃん!」と教えてくれたのが、学生時代に住んでいた下宿先の近所にあったバルの店長。

「ワインと合わせる食事だって、写真の雰囲気で選んでるでしょ?」って。たしかに、ワインをパッケージから選んじゃいけない理由なんてないのかも。そうやってもっと気軽にワインをたのしめたらいいよね。

このシリーズでは編集部があらゆる街に足を運び、ショップのオーナーさんに、パッケージで選びたいおすすめのワインや飲みたいシチュエーションなどを根掘り葉掘り聞いてくるよ。

シリーズ3回目の今回は、どんな“パケ買いワイン”に出会えるかな。

 

vol.3 THE WINE SHOP. TOKYO

訪れたのは、『THE WINE SHOP. TOKYO』(ザ ワインショップ トウキョウ)の倉庫。

ナチュラルワインを中心にセレクトしたワインを日本全国に届けてくれるECサイトなんだけど、最近倉庫を新設。入っているほぼすべてのワインを試飲できるようにする予定なんだって。

もちろん、利用は一般のお客さんでもOK。味を確認できるのは嬉しいよね。

今回はそんなTHE WINE SHOP. TOKYOの代表・牧さんの “パケ買いワイン” を紹介するよ!

 

進化するエチケットラベル

ーー『THE WINE SHOP. TOKYO』のインスタグラムは、エチケットラベルのデザイン性を全面に出した投稿が印象的だなと思います。メールの回答で『エチケットラベルに思い入れがある』とおっしゃっていましたが、もう少し詳しく伺ってもいいですか?

「もともと、ワインのエチケットラベルは文字だけで情報を伝えるものがほとんどだったんです。産地ごとに規格があり、それによって銘柄など記載する文字が決まっていることがあります」

ーーえっ、そうなんですか。

「そうなんです。今まではその規格外だと販売しにくかったのですが、今は “個人” の時代になってきていて。規格を気にせず、造り手の思いや考えをワイン名やエチケットラベルを乗せることができるようになってきました」

ーー個人の主張が出せる時代になった、と。

「まさにそういうことです。その考えがエチケットラベルに反映されていて、造り手のワインへの思いがわかるものになってきているんですね。

だから、文字でしか情報を伝えてなかったものに、どんどん個性が出てきて、より造っている人に親近感が湧くというか」

ーーなるほど…。もしエチケットにワインの名前しか書いてなかったら、イメージがつかず怯んでしまいそうです。でも、それぞれに趣向を凝らしたデザインになることで、知識がない人も買いやすくなりそうですね。

「うんうん、そうですよね」

ーーエチケットラベルも進化というか…変化してきているんですね!

「そうですね、だいぶ変化してきていて。見ていてやっぱり、たのしいですよね」

ーーなるほど。そういう『見ていてたのしい』ところはワインショップのSNSやHP作りで意識されてるんですか? “シンプルな背景をバックに、ワインがドンと置いてある” っていう構図の写真が印象的で。

「そうですね…。ほかの情報はなしでただワインに興味をもってもらうためにも、このスタイルはちょうどよかったのかなと思います」

 

ちょっぴり皮肉のきいた、遊び心のあるエチケット

BRUTAL 2018 GUT OGGAU

ーーそれでは、おすすめの “パケ買い” ワインを教えてください!

「まずは、<BRUTAL 2018 GUT OGGAU>(ブルータル 2018 グート・オッガウ)ですね。BRUTALには “残忍な”“粗暴な”という意味があり、と同時にカタラン語のスラングで “素晴らしい!” という意味もあるんです」

ーーこれはインパクトのあるワインですね…!

「そうですね。飲んだときに受ける印象もとても華やかですよ。クランベリーや野イチゴの香りとジューシーな味わいが特徴で、ベリーのキャンディを噛んでいるような気分になります」

ーーこのワインをセレクトしていただいた理由はなんでしょうか?

「このワインの造り手はうちで特に人気なんですが、とにかく見た目が分かりやすいですよね。

顔のエチケットのワインってなかなかないので、そのキャッチーさと、さらに本来の《BRUTAL》シリーズとはイラストが違うっていう面白みもあります」

ーーおお、そうなんですか。

「はい。通常は鎌を持っている死神のイラストをあしらったエチケットを、違う生産者だとしてもぜーんぶ統一して使うっていうのが基本なんですけど。ここはあえて、顔のエチケット、しかもちょっと落書きをしてるっていう。

僕自身現代アートが好きなんですが、壁に落書きをしているような、それを見るときのような、そういうたのしさがありますね」

ーーちょっと皮肉っぽい感じ。

「はい、そういうのが大好きなので良いなあと思って。ピストルズのエリザベス女王の目元に落書きをしたジャケット、あれを彷彿とさせますよね」

ーーあ、<God Save The Queen>ですね! たしかに。牧さんはこのワイナリーにはどんなきっかけで出会ったんですか?

「インスタグラムですね、海外の。THE WINE SHOP. TOKYOのアカウントを展開するときに、どういう風に見せるのが一番綺麗なんだろうと検索したんです。

すごくたくさん調べていたときに見つけて、しかも、ちょうど日本への輸入が開始された直後だったんです」

ーーそれは運命的ですね!

「ですよね。すごくタイミングがよくて。それでお声かけさせていただいて…っていう感じです」

ーー牧さんだったら、このワインをどんなシーンで、どんなおつまみと合わせて飲みますか?

「このワインの華やかさを存分に活かすために、大きめのグラスで香りの変化をたのしんでほしいです。友人たちと食事中、話に夢中になりながらも、ふとワインの香りに心が奪われる。そんな体験ができると思います。

そしておつまみは、生のいちじくとクリームチーズの組み合わせを、ぜひ!」

 

<SASUKE>から生まれた、お茶目なワイン

Mt Midoriyama Chevaucher l'Eclair 2020

ーーもう1本教えていただけるということで。お願いします!

「はい、2本目に紹介するのは、<Mt Midoriyama Chevaucher l'Eclair 2020>(マウント・ミドリヤマ・シュヴシェ・レクレール 2020)です。

TBSのスポーツ特番<SASUKE>をオマージュした1本なので、エチケットのイラストは綱を登る最終ステージがモチーフになっています」

ーーSASUKEからインスパイアされていると聞いて、もう少しゴツい、無骨な感じをイメージしていたんですが、ラベルが可愛らしくて、ワイン自体の色も透明感のある、甘めな色ですよね。ちょっと意外でした。

「そうですね。ワインのエチケットっぽくない、ポップでカジュアルな雰囲気があります。

特にこのワイナリーのワインは、味わいもクセがなくてまるい、果汁のジュースを飲んでいるようなものが多いので、どなたにもおすすめしやすい1本です」

ーーなるほど。SASUKEがモチーフとのことですが、これは輸入ワインなんですか?

「はい、オーストラリアのワインですね。ワイナリーの創設者2人が、SASUKEの完全制覇者・長野誠さんの特殊なトレーニング方法やチャレンジスピリットに感銘を受けたそうで。

ワイナリー名は、長野さんの船名であるKonpira Maru(金比羅丸)なんですよ」

ーーへえ! 完全にSASUKEのファンですね。

「ですね(笑)。日本で買える場所もまだ少ないので、面白いかなと思います」

ーー香りや味わいについても教えてもらえますか。

「やさしい白桃のアロマにややドライな口当たりから始まり、あとを追うようにフルーティさがあらわれるところが特徴です。クラフトビールの立ち位置で扱えるワインですね」

――なるほど。となると飲み方もクラフトビールと同じようになるんでしょうか。

「そうですね、ワイングラスではなく小ぶりなコップで飲むのがおすすめです。よく冷やしてBBQで、もしくは夏の夕暮れのベランダとかも最高です。僕だったら、ビーフジャーキーやフィッシュ&チップスと合わせます」

――夏の夕暮れのベランダ! 想像するだけで素敵です。牧さんは普段、どんな基準で、何をポイントにして、そのワインに合ったシーンをイメージしているんですか。

「うーん、香りですかね」

――“香り”。

「味もあるんですけど、香りがどういう変化をするかによってシチュエーションも変えています。

わかりやすい香りならどんなシチュエーションでもいけますが、ほのかに香るワインだとテイスティングのようにしっかり感じないと香りがわからないですよね。そうなると、ちょっと静かな、時間をかけて飲めるような場面がいいなと。そういう場所のほうが真価を発揮するので」

――なるほど。香りの特徴とシーンとを掛け合わせて考えるんですね。

 

記憶に残る、という選択

――牧さんはたくさんのワインのエチケットラベルをご覧になってきたと思うんですが、そのなかでパッと見て『お、これは面白いな』と感じるものって、どういう場所がポイントになってくるんでしょうか。

「うーん」

ーー漠然としたことを聞いてすみません…(笑)。

「僕はですね、“顔つき” ですね」

――“顔つき”…。

「はい、人の顔が書いてあるワインって珍しくてですね」

――あっ、“顔付き”!

「やっぱり目に止まりますね。あとはなんですかね…。まあ、“ワインっぽくない” デザインのものは好きですね。文字でガーッと書いてあるようなものは苦手で」

――ああ、先ほども文字の話が出ましたよね! やっぱり、文字だけで完結しているようなデザインは “ワインっぽい” ものになるんですか。

「そうですね。…ちょっと待ってくださいね」

(席を立ち、ワインを持ってきてくださる)

「たとえばこういう文字だけのワインは(白地に銀でタイポグラフィが箔押しされているデザインのエチケットを見せながら)、皆さん忘れちゃうんですよね。

『いま飲んでるのはこういうワインだよ』って見せても、写真で残さない限り覚えていられないと思うんですけど、キャッチーなデザインなら忘れないと思うんです。

『ああ、これね! 見たことある! 飲んだ!』って。この “飲んで覚えてもらえる” ことが、けっこう大切かなと思いますね」

――なるほど。記憶に残るワイン、ということですね。

 

「見てたのしい」は、「飲んでも美味しい」

――最後にもう1ついいですか。とても素朴な疑問なんですけど、ワインって、味や香りがすごく重要じゃないですか。でもそれって、開けないとわからないですよね。

「開けないと、わからないです(笑)」

――(笑)。でも実際買って帰るまで、分からないですよね。開けて飲んで、じゃあこのおつまみにしようとか、このシーンで開けようとか。だから、なにか少しでもコツが分かればなあと。どういうところを見るといいですか。

「すごい経験則なんですけど…。この作り手だったらこうだろうっていうのがわかるんですよ。ナチュラルワインだと特にそうなるんですけど。『この人こういう人だからな〜』って」

――なるほど、それはかなり玄人向けですね(笑)。

「…っていう経験則があればこうなるんですけど(笑)、なければ…」

――おお、ぜひお願いします。気になります。

「一番良いのはなんだろうな。あ、でも、エチケットラベルで遊んでるワインは『気軽に飲んでほしい』っていうモノが多いですよ。じゃなきゃ、そんなに遊んだりはしないので」

――あ、なるほど。じゃあパッと見て『かわいい!』って思ったり、『トガってんな〜』って気になったら、案外気軽に飛びついてもいいんですね。たとえば、エチケットが面白いからっていう理由だけで友達との集まりに持っていくのも。

「全然アリですね」

――とっつきやすい味だし、話題にもなるし…っていうふうに、わたしたちが使いやすいワインだと思っても大丈夫ですか?

「うん、大丈夫。というかそれが一番大事じゃないですか。僕らはテイスティングするときに、外観の色合い・香り・味わいっていう3項目から考えるんですけど、これって日々変わるんですよ。

人の味覚自体が一定じゃなくて、日々変わるので。今日はしょっぱいって思っても、次の日には甘く感じるのが人間なんですよね。

で、これってシチュエーションも影響していて。その場の雰囲気というか。その場がたのしいと、結論なんでも美味しいんです(笑)。だから、その空間を演出できるようなものなのであれば、なんでもいいと思います」

――あっ、たしかにそうかもしれません。

「しかも人間、見た目が8割なので。見ていてたのしいものっていうのは美味しく感じるものでもあるのかなって思います。

僕らプロはわかっているので、『こういうワインを〜』って勧められるし選べますけど、一般の方には選択肢がないですよね。ワインをよく飲む人であっても、生産者のことまで詳しい人はなかなかいないですし。

だから、エチケットラベルから “パケ買い” してもらって、たのしければそれが一番いいのかなって」

――プロの牧さんからの太鼓判、ありがたいです。

 

これなら、わたしにも選べそう。

目で見て嬉しいお酒は、わたしたちの毎日を彩ってくれる。今日、どんなふうに過ごしたいか。仲間と過ごす時間に思いを馳せながら、ワインを選べたら。

出会った瞬間のトキめきも、そのワインが演出してくれたたのしい時間も、きっと最高のものになるはず。

“パケ買いワイン”、してみない?

 

今回訪れた場所について

■THE WINE SHOP. TOKYO(ザ ワイン ショップ トウキョウ)

ナチュラルワインを中心にセレクトされたワインは、なかなか入手出来ないワインから気軽なテーブルワインまで多種多様。代表である牧さんの確かな目利きがあるからこそ、自分の “気になる!” に素直に、安心して注文できるのが嬉しい。新設された倉庫に人が入れるようになる日はもう少し先になるみたい。日々更新されるSNSも、こまめにチェックしてみよう。

公式サイト:thewineshop.tokyo

Instagram:@thewineshop.tokyo

※営業時間や定休日などは上記公式サイトやInstagramのご参照をお願いします。

 

 

記事の創り手について

■トミオカ ハヅキ – 取材・執筆

美味しいものを分け合えば、人類みな友だち! こんにちは、ロックとビールが生きがいの富岡です。持ち前のオタク気質を発揮して、世界に溢れる “グッときた!” を集めるべく奔走する毎日。皆さんに、この “グッ!” が届くといいな。

Instagram@2549.tom

 

■ジツカワ タクミ – 取材・執筆

“たくさんの人には知られていないけど、強く光るものにスポットライトを当てていく意識” を大切に、街やお店、モノや人に寄り添ってお伝えしていきます。

Instagram:@jitsu_tkm

 

■シュン - 撮影・編集

チトセの代表と編集長、カメラマンを務めています。“僕らがたのしく生きるために” をテーマに、親しい友人から話を聞いているような、そんな等身大のメディアを目指して。「楽しいから楽しむのではない。楽しむから、楽しいのだ。」という言葉を大切に日々を生きています。

Instagram:@shun_booooy

 

※撮影時のみマスクを外しています。また、アルコール消毒、三密の回避、検温等、新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえで取材を実施しています。

 

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