【部屋から見えてくる、その人の姿。 vol.2】熊木健二/グリーンで繋がる人の輪

おしゃれなあの人の着ている服やよく行くお店は、SNSを追っていればある程度知ることはできると思う。

だけど、意外にその人の部屋を見れる機会って少ないんじゃないだろうか。センスの良い彼・彼女の部屋の、センスが良い由縁を覗かせてもらおう。

「よく行くカフェがここなんだけど、そのインテリアが好きでオーナーさんに聞いたらブランドや購入できるショップを教えてくれて…」

「好きな映画で主人公が出てくる部屋がこんな内装で…」

なんて、その人自身のディテールも浮かび上がってくるような、そんな部屋から僕らは部屋作りを学んでみたいんだ。きっと、部屋にはその人の生き方がありありと現れてくる気がするからさ。

彼や彼女のインテリアに関する情報源、どんな部屋を理想としているのか、部屋のなかでどこが好きか、この部屋を変えたキーとなったアイテムがなにかあるかなど、“部屋” を通してその人自身に迫っていきたい。

 

vol.2 熊木健二(クマキ ケンジ)

今回お話をうかがったのは、フローリストである熊木健二(クマキ ケンジ、愛称くまけん)さん。

東京の代々木上原、中目黒、蔵前に店舗を構えるフラワーショップ『ex. flower shop & laboratory』(イクス フラワーショップ&ラボラトリー)で働きながら、個人としてもフラワーアレンジメントやブーケづくりなどの活動をしている。

リビングに入ると、花や植物の鮮やかなグリーンカラーが目に飛び込んできた。太陽光がよく入る窓側は、植物たちが独り占め。一人暮らしというよりも、花や植物たちと一緒に住んでいる、という表現がぴったりに思える。

この部屋には住んで3年目になるそうだ。

 

植物のことを最優先に考えた、植物にとって住み心地の良い部屋。

部屋選びの決め手は、いったいなんだったんでしょう?

「一番の決め手は、自然光がよく差し込む部屋だったことです。以前住んでいた部屋は1階で、部屋の半分が日陰になっていたんですよね。なので植物の育ちが悪くて」

駅の近さや交通利便性ではなく、自分の好きな花・植物を想いやった部屋選び。今この部屋には常時50種類ほどの植物があって、増えたり減ったりを繰り返しているそう。ん、増えたり減ったりって、どういうことですか?

「自分で手に入れる植物もあるんですけど、職業柄、傷んでいる植物を持ち帰り療養させることが多くて。そういう場合は、復活するものもあれば、傷みが強くて終わってしまう場合もあるんです」

なるほど、そういう理由だったんですね。

「環境や育て方による生長の変化を見ることで、どうすると調子が悪くなるのか、どうすれば新芽の展開が良いのかとか、そういうことをお客さんに伝えられたらと思ってます。

実は今の仕事をする前、花や植物に関連するウェブメディアの仕事をしていたんです。だから、育て方をちゃんと伝えたいという気持ちは人一倍強くて」

生活において、仕事に繋がる学びを生み出す。たのしんでやっているからこそ、自然と自分の好きなことが仕事の成長にも繋がっているようだ。

 

限られたスペースでも、工夫してみる

この部屋の広さは7.5帖程度。でも、とても広く感じる気がする。なぜそう思えるんだろう?

「ベランダにも植物を置いているので、関係があるかもしれないです。部屋と同じステンレスラックを置いているんですけど、そこでも植物を育てていて。そうするとベランダまでをひとつの空間として感じてもらえたり」

「あとは、なるべくモノを低くして天井を高く見せるようにしたり、白をベースにした家具を置いたり。ところどころ工夫してますね」

ベランダまで部屋が続いていると感じる錯覚。たしかに、約2帖ほどのスペースも活用してみることで、部屋の見せ方により幅がでてくる。そうだ、部屋作りをするうえで参考にしているものはあるんですか?

「最近買った洋書なんですけど、<Settlements>という本を気に入ってます。自然に溶け込みながら暮らす人々を紹介している本で。

東京にいる間は難しくても、ゆくゆくは僕もこの本に載っている人のような生活を送りたくて、ときどき見返してモチベーションにしていますね」

本の内容には、自然と共に暮らす人々が紹介されていた。登山の風景や、ヨーロッパの山奥で暮らす人々の事例が載っている。

この本からは、仕事をするうえでのインスピレーションも得られるそう。一見花との関わりが薄そうな世界に触れることは、世界の見え方を拡げることに通ずる。

それはつまり、多くの人やモノ、コトから自分にまだなかった感覚を知ろうとすること。話を聞くにつれて、こういった1つひとつの物事に対するスタンスこそが、くまけんさんの提案が多くの人に支持される理由なのだと感じた。

「他だと、植物を育てている人たちのインスタグラムをチェックしています。<Urban Jugnle bloggers>が有名で、世界中の植物と暮らす人々の部屋を紹介しているアカウントなんですけど。

それを見ながら、『あ、この部屋いいじゃん!』と部屋に少しずつエッセンスを取り入れていますね」

職業柄、植物や花をどうすればおしゃれに飾れるかという相談をよく受けるくまけんさん。飾り方のイメージの共有のためにも、グリーンを感じるアカウントは数多くチェックしているみたい。

 

“東京っぽい。” と思わせてくれる繋がり

そういえば、くまけんさんのインスタグラムを拝見すると、アーティストやクリエイターとの繋がりが多いように感じます。なにかきっかけがあったんですか?

「それでいうと、『Yogee New Waves』のみなさんとの出会いかもしれないです。先ほど話したウェブメディアをやっていた頃、彼らの<Bluemin’ Days>という曲を聴いたことで、やっぱり花屋で働きたいという想いが強くなったんですよね。

そのタイミングで、下北沢にある『Garage』というライブハウスに行く機会があって、そこでギターボーカルの角舘健悟(カクダテ ケンゴ)さんが弾き語りをされていました。

たまたま機会があってご挨拶させていただいたんですけど、後日お花を頼みたいと依頼されて。てっきりフラワーギフトの注文かな? と思っていたら、まさかのEPジャケットで使用するアートワーク用のお花の依頼でした。

だからこのアナログレコードは、一生の宝物です」

自分の好きなことを突き詰めていくと、新しいモノや面白いことにどんどん出会える。それってなんだか、とっても東京っぽい。この街で誰もが夢見る、まるで映画みたいな生活だ。話を聞いていると、そんな印象を受けた。

他にもこの部屋は、『maco marets』(マコ マレッツ)さんの<L.A.Z.Y.(feat. さとうもか & Shin Sakiura)>という曲のMVに使われているみたい。どこに映っているのか、みんなも探してみてね。

 

お客さんと一緒に描く、花・植物とのストーリー。

部屋を見ていると、生活と仕事が一本の線で繋がっていることがよく分かった。長年この仕事をしているくまけんさん、原体験はあるのかな?

「幼い頃、ボーイスカウトをしていたことは大きいと思います。今でも家に本を置いているんですけど、キャンプや野外活動などのフィールドワークはとてもたのしくて、自分が生き生きしていたのを覚えていますね。

朝早く起きてカブトムシを採りに行く。そんな、自然を通して自由に遊び、学ぶ経験が、今の仕事や生活の原型を形作ったんだろうなと思います」

 

植物に囲まれた、リラックスできる空間

この部屋は、くまけんさんの内面や繋がりを大きく映し出す部屋だった。今後は土から考える庭作りにも挑戦したいようだ。最後に、仕事をするうえで大切にしているスタンスについて聞いてみた。

「ずっと、植物に関してビギナーでいたいです。マニアックな植物も好きだけど、初めて植物を育てる人と同じ目線であるべきだと常に思っています。

初めての人に、いかにたのしいとか、花や植物って良いなという気持ちになってもらえるか。僕も育てていてうまくいかず枯らしてしまうことがあるし、失敗するから。

全部を知っているわけじゃないけど、些細なことでも相談相手になれる存在でいたいですね」

ただお花を売るだけでなく、育て方や飾り方といった、その人が花・植物を手にした先にあるライフスタイルまで想像する。お客さんにとっては生活のストーリーを共に作り上げる、パートナーのような存在だと感じるんだろうな。

自分がやりたいことに正直に、そして新しい繋がりにも飛び込んで。フローリストの枠を飛び越えた生き方は、僕らが参考にしたいポイントが数多くある。

くまけんさん、今日はありがとう!

 

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■熊木健二(クマキ ケンジ)

Instagram:@kuma_ken

 

 

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■ツネミ ケンゾウ - 取材・執筆

関西出身のケンゾーです。“気になることにはなんでもトライ” をモットーに、日々自分の世界を拡げています。みんなが大好きなものから、まだ知られていないオモロイことまで、ユニークなテーマを中心に発信していきます。

Instagram:@love_good226 

 

■シュン - 撮影・編集

チトセの代表と編集長、カメラマンを務めています。“僕らがたのしく生きるために” をテーマに、親しい友人から話を聞いているような、そんな等身大のメディアを目指して。「楽しいから楽しむのではない。楽しむから、楽しいのだ。」という言葉を大切に日々を生きています。

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