【あの人のルーツを探る vol.1】MILK TEA SERVICE 須藤勇介

今僕らは、社会や未来の自分から選択を迫られている。これから先、どんな人間でいたいのか。そのためにどんなことを仕事にするのか。

さまざまな選択肢がある現代では、1回の選択で正解を選ぶことは簡単じゃないはずだ。だからこそ多くの人が「正解を選ぶのではなく、選んだ道を正解にしよう」と言う。

いくら考えても未来のことは分からない。自分も、社会も、この先どう変わっていくかなんて分からない。しかし、ただ立ち止まって悩んでいても、なにも変わらないのもたしか。

目の前の道を一歩ずつ歩んだ結果、自分らしい仕事を職業にしたあの人に、まずは話を聞こうじゃないか。憧れのあの人が、どんな生き方をしていて、今、何を考えているのか。どんな未来を想像しているのか。

少しでもその考え方に迫ってみよう。あの人の今まで知らなかった一面を覗いてみよう。表面上のモノだけをマネするのではなく、考え方に学び、得たもので、なんだかあの人にちょっとでも近づける気がするから。

 

vol.1 MILK TEA SERVICE 須藤勇介

渋谷の喫茶店『ケニヤン』に在籍中、ミルクティーのケータリングサービス<MILK TEA SERVICE> を立ち上げた須藤さん。その後独立し、現在に至る。

サービスには、オーナーである須藤さんの “高貴なイメージのミルクティーをポップに提供したい” という想いが込められており、茶葉の旨味を感じる甘くてコクのあるミルクティーは何杯でも飲めてしまう美味しさ。

第3木曜には、代々木公園にある『私立珈琲小学校 放課後』にて、天丼とともにミルクティーを楽しむことができる。

 

喫茶店でケータリングを担当したことがすべての始まり

実店舗を持たないケータリングの仕事。8年半ほど勤めた喫茶店『ケニヤン』でのケータリングを担当したことがすべての始まりだったと言う。

「ケニヤンには<アイミティー>っていう人気のミルクティーがあるんですけど、当時それをケータリングしてほしいという依頼が少しずつ増えていて。

そもそもケニヤンの店舗周辺にはアパレルや出版社なんかが多かったこともあって、それなりに需要があったんですよね。

でも、みんな面倒くさがってやらない。それで僕がケータリングの担当になったんですけど、今のMILK TEA SERVICEはその延長線上にあります」

他のスタッフが面倒に思っていたから引き受けたケータリングが、今は彼の仕事になっている。これは、誰にも予想しえなかった未来なんじゃないか。そもそも、ケニヤンで働き始めた理由もかなりユニーク。

「3年弱くらいアパレルで働いてぷらぷらしていたんですけど、たまたまケニヤンで働いている友だちがいたこともあって、ちょくちょく通ってたんです。

でも、少ししたら彼がお店を辞めることになって。

そのときに店長から『須藤くん、すごい通ってくれてるし仕事分かると思うんだよね。繋ぎでいいから、ちょっと働いてくれない?』って声をかけてくれました。

飲食で働こうなんて考えたこともなかったんですけど、そこからいくつかの飲食店を掛け持ちしつつ、ケニヤンでも働くようになったんです」

過去の自分の決断を淡々と語る。軽快で躊躇のない選択が、少しずつ現在への道を作っていった。

 

人との繋がりが仕事につながる。良い影響を与えてくれた人物

2店舗あったケニヤンが1店舗になる。そのタイミングでケニヤンを離れることになるが、MILK TEA SERVICEはケニヤン在籍時からすでに始めていた。

「4カ月くらいはケニヤンとMILK TEA SERVICEを両立してやってました。最初はケータリングの数も多くなかったので、十分両立できていて。

そのあと、ケータリングのみでやっていくことになったとき、最初はバイトでもしながらやろうかなという気持ちだったんですけど、いろいろな方や企業さんから依頼をいただけて。

バイトはせずに、MILK TEA SERVICEでいろいろとできるようになっていきましたね」

一番大切なのは “人との繋がり” だという。

実際、ケニヤン時代にさまざまな繋がりがあったからこそ出店が叶ったり、コラボができたりと、繋がりの大切さを感じさせるエピソードがたくさんある。

取材は祐天寺のギャラリー『Inherit Gallery』で行われたイベント・東京モータープールの会期中に実施された

「今回の<東京モータープール>のイベントも、主宰の橋爪悠也とは6年くらい前からの知り合いということもあって、出店させてもらってます」

東京モータープールは、ニッチな活動をしているクリエイターを世にプッシュしたいと考える橋爪が企画したイベントで、今回はその第1回目。

「今後、定期的に開催していくことになると思いますけど、こうした場所でもいろいろな繋がりができますよね」

最初は知り合いからの依頼が主だったケータリングも2年が経ち、接点のなかった企業やイベントからの依頼も増えてきている。

そのなかでも、最もお世話になっている人がいる。自身でもケータリングやイベントのオーガナイザーなどをやっている、土屋きみさんだ。

彼女が企画したフードイベントでたくさんの人との繋がりができ、それをきっかけに仕事の幅が広がった。

新丸子にあるアイスクリームショップ『BIG BABY ICE CREAM』(ビッグベイビーアイスクリーム)との仕事も、彼女の紹介があったからこそコラボが実現したという。

「彼女が企画したフードイベントで、本当に多くの人と繋がったんです。今こうしてMILK TEA SERVICEをやっているのは、きみちゃんの影響が間違いなくある」

 

ケータリングだからこそ、コラボで学べる部分は多い

飲食店とのコラボだけでなく、徐々に大きいイベントや野外フェスへの出店なども増えた。

コラボから生まれたミルクティーの新しい提案は、僕らをわくわくさせるものばかりだ。

 

「飲食店とのコラボで印象的だったのは、BIG BABY ICECREAMさんとのコラボですね。

飲食店とのコラボ自体が初めてだったんですけど、僕のミルクティーでアイスクリームを作ってもらって、フロートにしたんです。

自分が想像していた以上の商品を作ってくれたし、お客さんもたくさん来てくれたしで、印象深い仕事でしたね」

 

他にも<青山パン祭り>でのミルクティーフレンチトーストや、二子玉川の『Let It Be Coffee』(レット イット ビー コーヒー)、代々木公園の『私立珈琲小学校 放課後』でも飲食のコラボをしている。

ミルクティーのポテンシャルに驚かされることばかり。こうしたコラボからは、学べることもたくさんあるのだろう。

 

「今後もし店舗を持つことになったら、こうすればいいんだっていうことをいろいろなコラボを通して学べている気がします。

MILK TEA SERVICEを1人でやるようになってから、確実に飲食系の知り合いも増えていて。ケータリングだからこそいろんな接点があって、学べることも多いですね」

 

アパレルで働いた3年間も今に活きている

MILK TEA SERVICEといえば、濃厚だけどあっさりした味わいのミルクティーだけでない。サービスロゴをあしらった、ポップなデザインのグッズも人気だ。

「いま展開しているグッズはもともとユニフォームだったものを、お客さんの要望があったこともあり、キャップにして販売しています。

高貴なイメージの紅茶をポップに伝えたいのと、サービス感を出したくてキャップにしたんですけど。今ではMILK TEA SERVICEのアイコン的存在です」

その背景には、3年間のアパレルでの経験が活きている。

「大学時代は服が大好きだったので、卒業してからアパレルで3年ほど働きました。

今はそこまでファッションに熱を入れてはいないんですけど、その3年間の経験は、それなりに無駄じゃなかったんじゃないかと今振り返ると思います」

お仕事系の質問で定番ともいえる「今の仕事じゃなければ何をしていたと思いますか?」と聞いてみた。

たらればの話なんて結局 “たられば” の話にしかならないけど、やっぱり聞きたくなる。

「何をやってたかな…。スポーツ関係の仕事はしてたかもしれないですね。僕、茨城出身で鹿島アントラーズのファンなんです。大学の途中までは自分でもサッカーをやっていて。

今はもうめっきりやってないんですけどね(笑)。だから、今は鹿島アントラーズに携わる仕事ができたらなと思ってます。それこそ、ミルクティーのケータリングをするとか。

たとえば鹿島アントラーズの限定ミルクティーを出せたらすごく嬉しいですね」

 

気がつけばそれが “正解の選択” になっていた。

須藤さんは語り口も、人生の足取りも、仕事の選択もとても軽快。そして、その軽快さと行動力を持って、自身の選択を正解に導いた。その姿勢から学べる部分は多い。

でも、きっと本人にとっては正解に導いたもなにもなく、気がつけば正解の選択になっていた、という感覚の方が強いんだろうな。

未来を見据えながら、目の前の仕事に没頭していく。結局のところ、僕らにできるのはそういうことなのかも。

それでいて、いつでも動き出せるように、足取りは軽く保ちながら。

 

僕らの友達について

■須藤勇介(ストウ ユウスケ)、MILK TEA SERVICE

 Instagram:@milkteaservice

 

※撮影時のみマスクを外しています。また、アルコール消毒、三密の回避、検温等、新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえで取材を実施しています。

 

記事の創り手について

■anju – 取材・執筆

 気がつけば読書にどっぷりと浸かる生活スタイルになってました。普段はフリーで編集やライターをやりながら本屋を巡っています。読んだら何かが掴めるような記事を届けたい。

Instagram:@a___anju



■シュン – 撮影・編集

チトセの代表と編集長、カメラマンを務めています。“僕らがたのしく生きるために” をテーマに、親しい友人から話を聞いているような、そんな等身大のメディアを目指して。「楽しいから楽しむのではない。楽しむから、楽しいのだ。」という言葉を大切に日々を生きています。

Instagram:@shun_booooy

 

■ジツカワ タクミ – 編集

“たくさんの人には知られていないけど、強く光るものにスポットライトを当てていく意識” を大切に、街やお店、モノや人に寄り添ってお伝えしていきます。

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